遺言書作成

遺言書作成詳細のインデックスにまとめています。
お知りになりたい項目をクリックしてください。

 

 

1.遺言概要

(1)遺言とは

遺言とは、自己の死亡後の法律関係を定めるために行う方法です。

遺言の効力が生ずるのは遺言者の死亡したときですから、遺言者本人の利益保護を考える必要はありません。

そこで、制限行為能力者であっても、法定代理人や保佐人、補助人の同意を得ることなく、遺言が認められるのです。

遺言も法律行為である以上意思能力は必要です。民法は15歳を遺言能力の取得時期と 定めました。また、成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならないと定めています。

これは人の最終意思を尊重するという制度趣旨によるものです。

 

(2)遺言でのみできること

遺言は、方式が厳格であるにとどまらず、遺言においてなしうる行為(遺言事項)も厳格に法律で定められています。

1.未成年後見人・未成年後見監督人の指定(893条・848条)
2.相続分の指定・指定の委託(902条)
 ※法定相続分が民法により定められていますが、被相続人の意思で法定相続分と
  異なる相続分を指定することができます。
  但し、遺留分を侵害する場合、事後的に遺留分減殺請求がなされることがあります。

3.遺産分割方法の指定・指定の委託、遺産分割の禁止(908条)
  ※被相続人は、五年以内の期間を定めて、遺産分割を禁止することができます。
   分割禁止の遺言がある場合、相続人はその期間中協議による分割はもちろんのこと、
   調停、審判の申立もできません。

4.遺産分割における共同相続人間の担保責任の定め(914条)
5.遺言執行者の指定・指定の委託(1006条1項)
6.遺留分の減殺方法の指定(1034条ただし書)

 

(3)遺言によっても、生前行為によってもできること

1.信託法上の信託
2.遺贈及び寄附行為(946条)
3.子の認知(781条2項)
4.推定相続人の廃除又はその取消(893条・894条2項)
5.特別受益者の相続分に関する規定(903条3項)
6.祭祀の承継者の指定(897条1項)

2.遺贈概要

(1)遺贈とは

遺贈とは、遺言によって遺産の全部又は一部を特定の人に無償で与える行為をいいます。
遺贈の利益を受ける者を『受遺者』と呼び、遺贈を実行すべき義務を負う者を 『遺贈義務者』と呼びます。
受遺者は相続人その他の自然人のみならず、会社などの法人も含みます。
胎児も受遺者となります。

※1.相続欠格者は、受遺者となることができません。
※2.受遺者は、遺言の効力発生の時に生存していること要し (同時存在の原則)、
   遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときには遺贈は効力を生じません。
※3.遺贈義務者は原則として相続人です。
   ただし、包括受遺者、相続財産法人の遺産管理人も遺贈義務者となり得ますし、
   遺言執行者がある場合には遺言執行者が遺贈義務者となります。

 

(2)『包括遺贈』と『特定遺贈』

『包括遺贈』とは、 「遺産の何分の一を甲に、何分の一を乙に与える」 というように、遺産の全部またはその分数的割合を指示するにとどまり、目的物を特定しないでする遺贈をいいます。

『特定遺贈』とは、例えば 「自宅土地を甲に与える」 というように、特定された具体的な財産的利益を対象とする遺贈をいいます。

両者の主たる相違は、包括受遺者が相続人と同一の権利義務を取得するとされて、積極・消極両財産を承継するのに対し、特定遺贈は積極財産(プラスの財産)だけを承継する点にあります。

包括受遺者は相続人ではありませんが、相続人と同一の権利義務を有すると規定されています(990条)。

包括受遺者は遺言者の一身専属権を除き、すべての財産上の権利義務を受遺分の割合で承継し、ほかに相続人または包括遺贈者があるときは、これらの者と共同相続したのと同一の法律状態を生じます。
※包括受遺者には相続人と違い、遺留分や代襲相続がありません(994条参照)

受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができ、遺贈の放棄は、遺言者の死亡の時にさかのぼってその効力を生じます(986条1項2項)。

3.遺言の方式の種類

 (1)自筆証書遺言

民法の定める遺言の方式は、大きく『普通の方式』と『特別の方式』に分けられます。

『普通の方式』は、公証人などの関与を必要としない自筆証書遺言(968条)とその関与を必要とする公正証書遺言(969条)と秘密証書遺言(970条)に分けられます。

(1)自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに押印することに よって成立します。用字、用語は略字、略語でも外国語でも構いません。

1.自筆であること
 ※自筆証書遺言は遺言者自らが書かなければなりません。他人に代書させたり遺言者の
  口述した内容を他人が筆記したものは、その内容の正確性に関わらず無効ですし、
  タイプライターやワープロで打ったりテープに吹き込んだものも無効です。

2.全文が自書であること
 ※全文とは、遺言者の実質的内容である遺言事項を書き記した部分で、
  全文を他人が書いた場合は無効です。

3.日付が自書であること
 ※遺言者は、遺言書作成の日付を自書しなければなりません。西暦でも年号でも
  構いませんが、「吉日」 のような表現では、日の特定ができないため無効となります。

4.氏名が自書であること
 ※氏名は戸籍上の氏名と同一である必要はなく、通称、雅号、ペンネーム、
  芸名などであっても、遺言者と特定できるのであれば有効です。

5.押印がなされていること
 ※押印のない遺言書は無効です。押印は実印による必要はなく認印でも構いませんし、
  指印も有効と考えられています。

自筆証書遺言のメリット・デメリット  
〈メリット〉 〈デメリット〉
自筆証書遺言は、文字の書ける人であれば誰でも作成でき、費用もかからず、 しかも作成の事実を誰にも知られないなどのメリットがあります。 方式不備で無効とされる可能性が高く、その内容の問題で争われる可能性も高い といえます。また、遺言書が公証役場に保存されるわけではないため、 偽造、変造、紛失、滅失のおそれがあるという大きなデメリットがあります。
 (2)公正証書遺言

公正証書による遺言は、証人2名以上の立会いが必要です。

遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がその遺言者が口述した内容を筆記し、遺言者及び証人に読み聞かせ、遺言者及び証人が筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名押印し、公証人が適式な手続に従って作成されたものである旨を付して 証書に署名、押印することによって作成します。

1.証人の立会があること
 ※2名以上の証人の立会が必要であり、証人は遺言の作成手続の最初から最後まで
  立ち会っている必要があります。ただし、未成年者や推定相続人・受遺者及び
  その配偶者並びに直系血族等は証人となることができませんので、注意が必要です。

2.遺言の趣旨の口授をすること
 ※遺言者は遺言の趣旨を公証人に口授しなければなりません(969条2号)。
  遺言の趣旨とは、遺言の内容の一字一句でなく、遺言の概要のことをいいます。
  口がきけない者が遺言をする場合には、公証人及び証人の前で遺言の趣旨を
  通訳人の通訳により申述し、又は自書することで口授に代えることができます
  (969条の2)。

3.口述内容の筆記がなされていること
 ※公証実務上、遺言者が公証役場で話す内容をその場で公証人が筆記するという方法で
  遺言が作成されることはほとんどなく、予め原稿で遺言内容を証書に作っておき、
  遺言者にその要領を言わせて確かめる方法で作成されています。

4.遺言者及び証人の署名、押印がなされていること
 ※遺言者及び証人は、筆記の正確なことを承認した後署名押印しなければなりません。
  公証実務上、遺言者については本人確認のために、印鑑証明書の提出が必要となり、
  実印で押印が必要です。一方、証人は実印で押印する必要はありません。

公正証書遺言のメリット・デメリット
〈メリット〉 〈デメリット〉
公正証書遺言は、遺言書の原本が公証人役場に20年間保存され、紛失、滅失などのおそれがありません。
また、専門家が関与するため、遺言者の意思を正確に実現することができ、また方式の違反によって遺言が無効とされる可能性も極めて低いといえます。
手続的には一見面倒そうに見えますが、実務的には簡単なものとなっていますので、 遺言は原則として公正証書遺言によるべきです。
費用がかかることや、証人が2名必要なことが、自筆証書遺言と比べてデメリットと なります。
 (3)秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言者がその証書に署名押印し、遺言者がその証書を封じ、証書に用いた印章でこれに封印します。

遺言者が公証人1人及び証人2人以上の面前で封書を提出して、それが自己の遺言書で ある旨並びに氏名及び住所を申述し、公証人がその証書の提出された日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともに署名押印することにより作成します。

1.遺言者の署名押印がなされていること
 ※秘密証書遺言については、遺言者の署名押印以外に遺言書の作成手続について
  なんら規定がないため、自書されたものである必要はなく、他人の書いたものや
  ワープロ、タイプライター等の機械を用いて作成した遺言書であっても差し支えありません。

2.遺言書の封入・封印なされていること
 ※封印には証書に用いた印章を使用しなければならず、異なる印章の場合は
  秘密証書遺言として無効となってしまいます。

3.封書の提出・申述がなされたこと
 ※遺言者は公証人1人及び証人2人以上の面前に封書を提出して、
  それが自己の遺言書である旨並びに氏名及び住所を申述しなければなりません。

4.公証人の記載と公証人・遺言者・証人の署名・押印がなされていること
 ※遺言者の署名は必ず自身でしなければなりません。

5.証人の資格について
 ※秘密証書遺言においては、証人2人以上を要します。
  公正証書遺言と同様に資格制限が設けられており、未成年者、推定相続人、
  受遺者及びその配偶者並びに直系血族等は証人となれません。

秘密証書遺言のメリット・デメリット
〈メリット〉 〈デメリット〉
秘密証書遺言は、遺言書の存在を明らかにしながら、内容を秘密にしておけるという メリットがあります。 一方、手続が面倒である割には遺言の効力が争いになるおそれがあり、 また、遺言書が公証人役場に保存されるものではないため、紛失、滅失等の危険があるというデメリットがあります。

4.遺言の撤回

(1)遺言の撤回の概要

遺言者は何時でも遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することが できます(1002条)。

遺言は、人の最終意思に法的効果を認めようとするものです。しかし現実には、遺言の 作成と遺言者の死亡との間には時間的間隔があることが少なくないため、遺言者は、生前はいつでもその意思を変更して遺言を撤回することができるのです。

なお、遺言者は、遺言の撤回権を放棄することはできません。(1026条)。

(2)みなし撤回

前の遺言と後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については後の遺言で前の遺言を取り消したものとみなされます(1023条)。
遺言者が故意に遺言書を破棄した部分については、遺言を取消したものとみなされます (1024条)。

(3)撤回された遺言の効力

撤回された遺言は、その撤回の行為が撤回され、取り消され、又は効力を生じなくなるに至ったときであっても、その効力を回復しません。

ただし、その行為が詐欺又は強迫による場合は、この限りではありません(1025条)。

(4)その他

遺言の効力については、自筆証書遺言と公正証書遺言に優劣はありませんので、公正証書遺言を自筆証書遺言で取り消したり、一部修正したりすることも可能です。

ただし、遺言内容の実現の確実性を考えると、必ず公正証書により取消し・変更することをお勧めします。

5.遺言書の作成

・相続人ごとに特定の財産を自分の意志で指定配分したい
・孫にも財産の一部を贈りたい
・内縁関係にある方に財産の一部を贈りたい
・お世話になった親戚、友人に財産を贈りたい
・障害者である子により多くの財産を贈りたい
・特定の財団に財産を贈りたい    など

上記に該当される方は、御自身の遺志を実現するため、遺言書の作成をお勧めいたします。

 

(1)遺言書作成の流れ (公正証書遺言の場合)

※お電話または、メール相談フォームでの受付後、ご相談日時を調整させて頂き、 面談で詳細にお話をお伺いいたします。
 
※お話しを伺った結果、今後の方針及び必要書類 並びに御見積額をご案内いたします。
今後の方針や御見積を 確認して頂き、お申し込み下さい。
※御依頼人様よりご用意していただきすが、ご希望であれば、必要な書類を代理取得することもいたします。
 
※遺言書への記載希望内容を適切な表現に落とし込み、文案を作成いたします。
 
※遺言書の文案にご納得いただければ、公証人役場に事前に資料を提供して、内容の事前調整と公証人役場の日時の予約をします。
※予約した日時に公証人役場で 遺言公正証書を作成します。
立会人(証人)2人をご用意できない場合は、当事務所で手配いたします。

 

(2)公正証書遺言作成のための必要書類

公正証書遺言作成のため、以下の書類が必要となります。
※1.1~5に関しては必ず用意します。

1.遺言者の印鑑証明書(6ヶ月以内)
2.遺言者の住民票
3.遺言者の実印
4.証人2人の認印(シャチハタ不可)
5.証人2人の住所・氏名・生年月日・職業の分かる書面


※2.6~13に関しては必要に応じて用意します。
6.遺言執行者を指定する場合、その人の住所・氏名・生年月日・職業の分かる書面
7.相続人を受取人にする場合、遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本
8.相続人以外の人に遺贈する場合には、その人の住民票
9.相続財産が不動産の場合は、土地・建物の登記簿謄本及び固定資産評価証明書
10.相続財産が預貯金・証券の場合は、銀行名・口座番号・会社名等を記載した書面
11.相続財産が債務の場合は、債務にかかる契約書(借用書など)
12.お墓の管理・供養を指定する場合は、お墓の使用契約書・住所等の書面
13.その他

 

(3)公正証書遺言作成のため公証人役場に収める費用

公正証書遺言の作成費用は,手数料令という政令で法定されています。
遺言の目的たる財産の価額に対応する形で、その手数料が、定められています。

以下は日本公証人連合会の資料よりの抜粋です。

 
(目的財産の価額) (手数料の額)
100万円まで   5,000円
200万円まで   7,000円
500万円まで  11,000円
1,000万円まで  17,000円
3,000万円まで  23,000円
5,000万円まで  29,000円
1億円まで

※1億円を超える部分については
 1億円を超え3億円まで5,000万円毎に
 3億円を超え10億円まで5,000万円毎に
 10億円を超える部分5,000万円毎に

43,000円
 
13,000円加算
11,000円加算
8,000円加算

※.上記の基準を前提に,具体的に手数料を算出するには,下記の点に留意が必要です。

1.財産の相続又は遺贈を受ける人ごとにその財産の価額を算出し、これを上記基準表に
  当てはめて、その価額に対応する手数料額を求め、これらの手数料額を合算して、
  当該遺言書全体の手数料を算出します。

2.遺言加算といって、全体の財産が1億円以下のときは、上記①によって算出された
  手数料額に、1万1,000円が加算されます。

3.遺言書は、通常、原本、正本、謄本を各1部作成し、原本は法律に基づき役場で
  保管し、正本と謄本は遺言者に交付しますが、原本についてはその枚数が法務省令で
  定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書の証書にあっては、3枚)を
  超えるときは、超える1枚ごとに250円の手数料が加算され、また、正本と謄本の
  交付にも1枚につき250円の割合の手数料が必要となります。

4.遺言者が病気又は高齢等のために体力が弱り公証役場に赴くことができず、公証人が、
  病院、ご自宅、老人ホーム等に赴いて公正証書を作成する場合には、上記1の手数料が
  50%加算されるほか、公証人の日当と、現地までの交通費がかかります。

 

具体的に手数料の算定をする際には、上記以外の点が問題となる場合もあります。
それぞれの公証役場で、お尋ね下さい。

当事務所では、公正証書遺言のほかに

自筆証書遺言および秘密証書遺言作成サポートも行っております。

当事務所への
電話やメールでのご相談は無料です。
お気軽にお問い合わせください。
  • 行政への手続き・契約書など 【行政書士業務】Q&A
  • マンションの管理・運営など 【マンション管理士業務】Q&A
  • 賃貸不動産経営支援業務 【コンサルティング業務】Q&A

  • 行政への手続き・契約書など 【行政書士業務】
  • マンションの管理・運営など 【マンション管理士業務】
  • 賃貸不動産経営支援業務 【コンサルティング業務】